【7月1日 AFP】南スーダンに住むニャメット(Nyamet)さんには脳性まひの障害がある。7歳の時、住んでいた町が兵士らに襲撃された。住民の大半は急いで逃げたが、高齢者や障害のある人たちは見捨てられ、その命は武装した男たちの慈悲に委ねられた。

 兵士らは、慈悲のかけらも見せなかった。

 ニャメットさんと母親は一緒にその場にとどまっていたが、その間に兵士らが残された人たちを殺しはじめた。母親は、「その瞬間、私は走った」と子どもを抱きかかえて逃げたときの様子をAFPの取材に話した。

 それから4年が経過し、一家は首都ジュバ(Juba)にある、荒れ果てた過密状態の避難民キャンプで生活している。南スーダンの内戦で家を追われた数百万人のうち7000人以上がここに身を寄せている。

 取材当日、ニャメットさんはマハド(Mahad)の避難民キャンプのぬかるんだ小道脇にある、トタン屋根の小屋の外に敷かれたマットの上で横になっていた。彼女は、日々の大半をここで過ごしているという。彼女は「時々は、マンゴーの木の下で遊ぶこともある。けれど、大抵は何もしていない」と述べた。

 マハドには障害のある人約200人が暮らしている。こうした人々は、根強い偏見と、あからさまな軽視からもたらされる苦境を耐え忍んでいる。

 ニャメットさんの母親は、「もし娘が学校へ行けば、他の子どもたちに笑われ、いじめられる。だから、娘には家にいてもらいたい。でもそう簡単なことではない。常に娘を気に掛ける必要があり、避難所から遠くへ行くことも、仕事に行くこともできない」と述べる。

 身体障害者のための権利団体「Union of Physically Disabled」のセメ・ラド(Seme Lado)氏は、ニャメットさんは特別なケースではないと話す。「障害者への支援は不足しており、家族からも見放されてしまう傾向にある。知識が完全に欠如しており、誰も上手に寄り添う方法を知らない」