【6月24日 AFP】テニスの四大大会(グランドスラム)の一つである全米オープンテニス(US Open Tennis Championships)が、今後はシード作成時に女子選手の妊娠を事情の一つとして考慮することを決めた。2017年9月に女児を出産したセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)をノーシードとした全仏オープンテニス(French Open 2018)主催者の対応が批判を浴びたことを受け、家族を授かろうとしている選手が不利益を被ることがないよう、米国テニス協会(USTA)が決断した。

 USTAのカトリーナ・アダムズ(Katrina Adams)会長は、23日に掲載された米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)の記事の中で「復帰を目指す母親たちにとって正しいこと。現在の、そして未来の女子選手に向けた良いメッセージになると思う。女性としていったん競技を離れ、母親になって仕事に戻ってくるのは構わない。これは大きなメッセージだと思う」とコメントした。

 その一方でセレーナのシードについては何も約束しなかったが、全米オープンは今後「妊娠が現在のランキングに関係している選手のシード算出方法を刷新する」と話した。

 元世界ランキング1位で、グランドスラムのシングルス優勝23回を誇るセレーナは、全仏ではノーシードで登場し、マリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)との4回戦を前にけがで棄権した。現在のセレーナのランキングは183位で、7回の優勝を達成しているウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)でシードが与えられるかは27日に分かる。

 現在のWTAツアーでは、長期離脱をした選手が年間最大8大会にエントリーできるプロテクト・ランキングという仕組みがあるが、シード順位に関してはそうした状況にいる選手を守る仕組みがない。

 自らも選手上がりのアダムズ会長は「事情は分かる。私がもし、前の年に一生懸命に頑張って世界ランキングを32位まで上げた選手だったら、快く思わないだろう。しかしわれわれが開催しているのはグランドスラムで、おかしくないと感じる範囲で選手のシードを決める権利と機会がある」と話した。(c)AFP