【6月20日 AFP】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)では、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)と3本の見事なFKなどでセットプレーからのゴール数が急増している。ちまたでは「セットプレーのW杯」という声も上がっている。

 全出場国が1試合ずつを戦い終えた中、ここまで総得点の約半分がセットプレーから生まれており、サッカー純粋主義のファンは期待は裏切られることになるだろう。

 ソーシャルメディア上では、今大会から導入されたVARが、リオネル・メッシ(Lionel Messi)やクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)よりも多いアシスト数を残すのではないかとのジョークも見られている。

 セネガル代表のアリュー・シセ(Aliou Cisse)監督は「現代では守備というのは非常にタイトであり、グループステージではセットプレーは間違いなく武器になるだろう」と語っている。

 数字はそれを裏付けている。

 VARでPKが与えられたスウェーデンが1-0で韓国に勝利した一戦の後、サッカーの統計データを分析するOpta Sportsは、それ(18日)までに決まった26ゴール中、53.8パーセントがセットプレーから決まっていると発表していた。

 これを受けて中国スーパーリーグ(1部)の上海上港(Shanghai SIPG)でテクニカルディレクターを務めるマッズ・ダビドセン(Mads Davidsen)氏は、「これまでの大会よりかなり高い数値だ」と語った。

「欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)では、セットプレーからのゴールは30パーセントだった。前回のW杯(2014 World Cup)でも約38パーセントだった」

 デンマーク出身で欧州サッカー連盟(UEFA)のプロコーチでもあるダビドセン氏は「準備や練習が『簡単』ということもあり、国内リーグなどよりトーナメント戦の方がセットプレーでの得点率が高いのが常だ。代表チームは年間数回しか一緒にトレーニングを行えないため、時間の問題もあり、プレースタイルの詳細をつめるのは難しい」とすると、「VARが影響を与えているのは間違いない」と付け加えた。