■ジャスミン茶名人親子が抱く使命感

 高氏親子の「使命感」は、高家に伝わる製茶の血筋から来ているようだ。

 愈正氏の父の高朝泉(Gao Chaoquan)氏は、一生を福州のジャスミン茶の加工製造にささげた。ジャスミン茶に傾倒し、ジャスミン茶の加工過程をまとめた著書『福建ジャスミン茶』を編さんしたほか、花の香りの深いジャスミン茶「閩蜜香(Min Mi Xiang)」を世に送り出した。

 後を継いだ愈正氏は今日に至るまで、朝泉氏が書き残したジャスミン茶の「染香」製茶工程の手稿を保存している。そこには、父親のジャスミン茶に対する熱愛と執着が記されている。

「父が編さんしたこの本は、福州ジャスミン茶の『染香』工程の継承に大きく貢献した」。愈正氏は父親の他界後、優れたジャスミン茶の製茶技術を継承し、福州ジャスミン茶の発展の信念も引き継いたのだ。

「福州ジャスミン茶を内外に広めるためには、「染香」工程を引き継ぐだけではなく、新しい世代を育てることが必要」。66歳の愈正氏は、外地より弟子を取り、「染香」技術を教えるだけでなく、講座などを開いてジャスミン茶の歴史と知識を語り、広く国民への普及に努めている。

 愈正氏の子息、時祥氏は、「5歳の時から父と一緒にジャスミン畑に行き、ジャスミンの花を摘み、夜を日に継ぎジャスミン茶を研究する父の姿を見て、ジャスミン茶の伝統を受け継ごうと決心した」と語る。

 新世代のジャスミン茶名人として、時祥氏は福州ジャスミン茶の「染香」技術を会得しており、ジャスミン茶への傾倒と愛情も先達たちに負けてはいない。

「福州ジャスミン茶を『染香』する時には、コストは高いが品質も高い地元福州のジャスミン花を使い、品質を最優先する」と時祥氏。「利益は見ないこと、これが父が伝えてくれたルールだ」

 高家親子への取材の間、卓上のジャスミン茶はぬるくなったが、ジャスミンの濃い香りは、高家三代の熱い心のように強く漂ったままだった。(c)CNS/JCM/AFPBB News