【5月24日 AFP】米国における若い女性の肺がん罹患率は現在、男性の罹患率を上回っており、喫煙者数では説明できないこの現象に科学者たちは当惑しているとする研究論文が24日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された。

 研究は肺がんと喫煙との関連性に焦点を当て、1995年以降の全ての肺がん診断書と1970年以降の喫煙者数に関するデータを分析した。

 研究チームは、1960年代以降に生まれた女性たちの肺がん罹患率が現在、男性の罹患率を上回っている理由を説明する何らかの関連性を探ったが、発見には至らなかった。

 論文によると、「概して、肺がんの罹患率と死亡率は男性よりも女性の方が低い傾向が続いている」一方で、1960年代以降に生まれた白人女性とヒスパニック系女性の間では「女性の方が喫煙者は少ないにもかかわらず、肺がん罹患率は男性よりも高い」という。

 過去20年間で肺がん罹患者数は男女ともに減少したが、減少ペースは男性の方が速い。

 こうした状況について研究チームは、考えられるいくつかの仮説を提示した。

 肺がんの主要原因の一つであるアスベストへの暴露の減少は、女性よりも男性の罹患率低下に寄与した可能性がある。また、男女が同じレベルの発がん性物質にさらされた場合、女性の方ががんを発症しやすいと示唆する仮説もあるが、これについては立証されていない。

 その一方で、研究チームはいくつかの重要な教訓を学んだとも述べ、その一例として、女性の肺がんリスクが上昇していることへの認識を高めるため、禁煙キャンペーンでは女性をより大きなターゲットにすべきだと指摘している。(c)AFP