■6車線の幹線道路も

 だが今回の研究では、自然保護区内で大規模なインフラ建設が進行している憂慮すべき事例の数々が明らかになった。

 ケニアでは、絶滅危惧種のヒガシクロサイや奇妙にもたてがみがないことで知られるライオンの個体群などが生息するツァボイースト国立公園(Tsavo East National Park)とツァボウエスト国立公園(Tsavo West National Park)を貫く鉄道が走っていると、ワトソン氏は例を挙げ、「鉄道の沿線に6車線の幹線道路を新設する計画が本格的に進行している」ことにも触れた。

 また、メガネウサギワラビー、シロオビネズミカンガルー、キンコミミバンディクート、ワキスジイワワラビーなどの絶滅危惧種の哺乳動物が生息するオーストラリア西部ウエスタンオーストラリア(Western Australia)州のバロー島にある国立公園では、石油と天然ガスを採取する大規模な経済活動が行われている。

 他方で、インドネシアのスマトラ(Sumatra)島では、深刻な絶滅危機に直面しているスマトラトラ、スマトラオランウータン、スマトラサイなどが生息するブキ・バリサン・セラタン国立公園(Bukit Barisan Selatan National Park)に10万人以上の人々が不法に定住し、園内の土地約15%をコーヒー畑に変えた。

 論文の共同執筆者で、豪クイーンズランド大学(Queensland University)の研究者のケンダル・ジョーンズ(Kendall Jones)氏は「国立公園や自然保護区などの保護対象区域の90%以上に、有害な人的活動に関する何らか兆候がみられた」と述べた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN