ワクチンに対する親の不信感で子ども多数が死亡、ルーマニア
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■とりわけ感染者が多いロマ人
プラホバの北東約250キロメートルに位置するバレア・セアカ(Valea Seaca)でも今年2月、生後10か月の赤ちゃんがはしかで死亡した。
イオアン・プラバト(Ioan Pravat)市長はAFPに対し、「赤ちゃんの両親は、予防接種は死亡のリスクがあるというテレビ報道を見た後、自分たちの子どもに予防接種を受けさせることを書面で拒否した」と語った。
ルーマニア国立感染症監視・制御センター(National Centre for the Supervision and Control of Transmissible Diseases)によると、はしか患者の多くは、社会的立場の低い貧しいコミュニティーで確認されており、その大部分を占めるロマ人はかかりつけ医がいないケースが多く、たとえいたとしても緊急の場合にしか助けを求めないと述べた。
WHOは、はしかの効果的な抑制のために予防接種の接種率を95%にすることを推奨している。しかし当局が発表した最新データによると、ルーマニアにおける2016年のはしかワクチン接種率は、1回目が87%で、2回目はわずか75%だった。
同国ではワクチンの供給が定期的に行われておらず、数量も不十分であることから、責任の一端は当局にあるという声も一部から出ている。
こうした声に急き立てられる形で、同国政府は、子ども用ワクチン10種を義務付けることで接種率向上を誓ったが、昨年提出された法案をめぐる議論はほとんど進展していない。
議会の衛生委員会で議長を務める、医師で社会民主党議員のフロリン・ブイク(Florin Buicu)氏は、「われわれは多数の提案を受け取っており、現在、それらを分析しているところだ」と語った。
同氏によると、その大半は、ワクチン反対派の団体から提出されたもので、これらの団体は活動を活発化させているという。
これに対し、医療専門家らは激しい怒りをあらわにしている。
ルーマニアの微生物学会会長のアレクサンドル・ラフィラ(Alexandru Rafila)医師は、「われわれは、(ワクチン接種を重視する)科学的な研究結果を擁護する必要性に追われているが、科学的根拠のない情報がなんの証拠もなしに真実のように受け取られている」と語っている。(c)AFP/Mihaela RODINA