■「片側空け」提唱取りやめ各地で相次ぐ

 片側空けはかつて「マナー」として推奨されていたが、近年では国内外の多くの都市で取りやめの動きが起こっている。

 中国で最も早く片側空けが広まったのは、香港だった。香港(Hong Kong)の地下鉄には階段がなく、エスカレーターだけだったため、急いでいる人のために片側を空ける習慣が広まったとされている。

 しかし香港城市大学(City University of Hong Kong)建築科の蘇廷弼(Su Tingbi)助教授は2006年、エスカレーターで歩いても数秒しか節約できないばかりか、「両側に人が乗った方が密度を高くできる。これに対し、歩くために乗客同士の距離を大きく取らなければならなくなる」として、片側を空けることで人の運送効率を上げることはないと文献で発表している。

 香港鉄道は、2010年から「しっかりと手すりにつかまり、みだりに動かない」ことを呼びかけるようになった。

 また上海市(Shanghai)でも、上海国際博覧会の開催期間中に限り片側空けを推奨していたが、エスカレーターの歩行はやはり安全上の問題があるとして、上海軌道交通運営管理センターは2012年から片側空けの張り紙などを撤去した。南京市(Nanjing)地下鉄も、2016年から片側空けを提唱することをやめている。

 海外では、カナダのメディアで2006年トロント交通委員会が片側空けの危険性を説明し、片側空けを呼びかける注意書きを撤去した。日本や韓国でも、片側空けを提唱していないという。(c)東方新報/AFPBB News