■同性愛者の「治療」

 中国におけるLGBTの人権は、他にもさまざまな課題に直面している。

 包括的な性教育が十分に行われていないため、多くの人々にはLGBTの問題についての知識がまったくなく、とりわけ結婚して子どもを持つべきだという伝統的な価値観やプレッシャーが深く根付いた地域ではその傾向が強い。

 性自認や性的指向を擁護する差別禁止法も整備されていない。中国で同性愛が非犯罪化されたのは1997年になってからのことで、2001年にようやく精神疾患一覧表から除外された。

 同性婚は依然として違法だ。湖南省(Hunan)の裁判所は2016年、男性2人の結婚に許可を与えることを拒否した。同性婚に関して中国の法廷で審理されたのは、これが初めてだった。

 LGBTコミュニティーは、他にも複数の訴訟に取り組んできた。南西部貴州省(Guizhou)の裁判所は昨年、中国初の不当解雇をめぐる訴訟で、トランスジェンダーの男性が職場から違法に解雇されたことを認める判決を下した。

 また昨夏には中国中部の裁判所が、同性愛者の男性に転向療法を受けるよう強要としたとして、精神科病院に対し損害賠償と謝罪を行うよう命じた。この2年前には、同国南西部の主要都市である重慶(Chongqing)で、同様の「治療」を行った別のクリニックに対し有罪判決が出されている。(c)AFP/Becky Davis