■毛皮に熱狂する中国

 フェイクファー研究所(Faux Fur Institute)のアルノー・ブリュノワ(Arnaud Brunois)氏は、IFFに対抗するために同研究所を設立した。

 ブリュノワ氏は、「生態学的な観点から考えると、1億5000万頭もの動物を飼育し、その皮を剥ぎ、化学物質を使って加工するよりは、石油の廃棄物を利用したほうが良い」と訴え、さらに毛皮業界側の主張について、「フェイクファーを中傷する毛皮業界のマーケティングキャンペーンの一環だ」と述べた。

 高級ブランドの専門家であるパリ政治学院(Sciences Po)のセルジュ・カレイラ(Serge Carreira)教授は、「毛皮の使用をやめたファッションハウスの大部分にとって、毛皮はほとんど利益になっていなかった」と述べた。

 例えば、グッチの2017年の毛皮の売上は1000万ユーロ(約13億2000万円)で、全体の0.16%に過ぎない。

 最近では欧米諸国の街角で毛皮のコートを見ることは少なくなったが、中国では状況は大きく違う。

 IFFのマーク・オーテン(Mark Oaten)最高経営責任者(CEO)によると、中国での毛皮の売上は過去10年で「驚異的」に伸び、最近は横ばいとなっているものの、他の地域を合わせた売上をいまだ上回っている。

 2017年の世界市場規模は300億ドル(約3兆3000億円)だった毛皮産業において、世界最大の毛皮消費国の中国は今や、世界最大の毛皮生産国でもある。(c)AFP/Anne-Laure MONDESERT/Fiachra GIBBONS