【4月16日 AFP】音響記録・再生技術の研究、開発を行う米企業ドルビーラボラトリーズ(Dolby Laboratories)のポピー・クラム(Poppy Crum)主任研究員は、どんなに頑なに自らの感情を隠そうとしても、テクノロジーによって人々の本心が見透かされるようになる日はそう遠くないと話す。

 国際会議「TEDカンファレンス(TED Conference)」でプレゼンテーションを行った同氏は、人工知能(AI)の機能を持たせたセンサーを用いることで、人がうそをついていたり、夢中になっていたり、さらには暴力的になっていたりすることを見破ることができるとしながら、「ポーカーフェースはもう終わり。私たちは自分たちの感情をあらわにすることになる。もっとお互いを知ることになるでしょう」と語った。

 同氏によると、目の開き方は脳の働き具合を示し、皮膚から発せられる熱はストレスあるいは恋愛感情をかき立てられていることを示すサインとなる。さらに、吐き出される二酸化炭素の量で人や群衆のイライラ度が分かる。こうした微表情(マイクロエクスプレッション)や呼気に含まれる化学物質によって、その人の感情を読み取ることができるのだという。

 また、人が話をするタイミングから、その人に認知症や糖尿病、多発性硬化(症)、双極性障害のリスクがあるかどうかがわかる場合もあり、さらに、たとえ目の前にいる人を見ていたとしても、人の脳波を見ることで、その人の注意が本当はどこに向いているかが分かるという。

 こうした合図を読み取るためのテクノロジーと文脈におけるパターンと因子とを分析するAIとを合わせることで可能性は広がる。

 正しく使えば相手の感情への理解を深めることができ、相手を抑圧したり操ったりする目的で使えば、虐待を招くこともあると、クラム氏は指摘。「見方によってはとても怖いことだけれど、別の角度から見るととても素晴らしいことだ。私たちは、この割れた感情の橋渡しができる」と続けた。