【4月12日 AFP】国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事は12日、中国・北京で開催された「一帯一路(One Belt One Road)」に関する会議において、同構想が他国に「問題ある債務の増加」を課すことにつながる可能性があると警告した。

 一帯一路は中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が掲げる大経済圏構想で、アジアからアフリカ・欧州にかけて数十か国で計画されている道路、鉄道、建設事業に1兆ドル(約100兆円)が投入される。

 しかし多くの事業が中国の国営企業によって進められ、また、財源が中国からの貸付金となっていることから、パートナー国が中国政府に負う債務は巨額なものになっている。

 ラガルド氏は中国や諸外国の当局者らを前に、「このような投機は問題ある債務の増加にもつながりかねず、債務返済の負担の増加で他の支出が抑制され、国際収支に問題が生じる可能性がある」と述べた。

 すでに巨額の債務を抱える国などは、国の重要資産を中国政府に手渡さざるを得ない状況に陥っている。スリランカは債務返済のため、交通量の多い東西の運輸ルートである南部ハンバントタ(Hambantota)港の長期貸借の権利を中国企業に譲渡する契約を結んだ。

 ラガルド氏は、問題回避のために全ての利害関係者が共通理解を持つよう、さらなる透明性と強調が必要だと主張。インフラ投資は「ただではない」と警鐘を鳴らすとともに、大規模な投資事業は当局者の汚職の可能性も生じると指摘した。(c)AFP