【4月8日 AFP】シリアの首都ダマスカス近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区で7日、反体制派最後の拠点ドゥマ(Douma)への空爆が再開された後、少なくとも11人が呼吸困難の症状に陥っている。シリア国営メディアは直ちに政府軍が化学兵器を使用したとの疑惑を否定したが、市民ボランティア組織は毒ガスが使用されたと主張している。

 ドゥマをめぐっては、シリア政府を支援するロシアとドゥマを拠点とする反体制派武装勢力「ジャイシュ・アル・イスラム(Jaish al-Islam、イスラム軍)」の間で反体制派側の撤退に関する交渉が行われていたが、交渉は決裂したとみられ、6日に政府軍がドゥマへの軍事作戦を再開していた。

 英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、ドゥマ北端では7日の空爆後、子ども5人を含む11人が「息苦しさや息切れ」を訴えた。こうした症状の原因は特定できていないというが、「ホワイト・ヘルメット(White Helmets)」の通称で知られる市民ボランティア組織「シリア民間防衛隊(Syria Civil Defence)」はドゥマの空爆で毒ガスが使用されたと主張。「ドゥマの住宅地が有毒な塩素ガス攻撃を受け、住民の間に呼吸困難の症状がでている」と英語版のツイッター(Twitter)に投稿した。

 医療救援団体「シリア系米国人医療協会(SAMS)」も、SAMSの支援を受けてドゥマで活動する医療スタッフから塩素ガスが使用されたとの報告があったとAFPに語った。

 シリア人権監視団によると、7日にはドゥマでほかにも複数の空爆があり、民間人8人が死亡した。一方、シリア国営メディアの報道によると、首都ダマスカスで反体制派がドゥマ側から行った砲撃で民間人6人が死亡、数十人が負傷したという。(c)AFP