【4月8日 東方新報】中国でも近年、音楽会に足を運ぶ人が増えてきた。音楽の国際交流が盛んになるにつれ、海外の有名なオーケストラが中国を訪れ演奏会を開いている。

 中国のチケット販売プラットフォーム「大麦網(Damai)」の演奏会情報によると、北京市(Beijing)で開かれた海外オーケストラによる演奏会は3月だけで、約20回に上った。一方で、一部の楽団は有名無実だったり、アマチュアの楽団が一流であるかのように大げさに宣伝したりする問題が起こっている。

■「○○フィルハーモニー」など紛らわしい名称

 クラシック音楽の本場である欧米市場が飽和により、「非一流」つまり二流以下の楽団は、経済成長著しい中国に活路を見いだしている。

 そんな中、一部の楽団は中国人の高級志向をくすぐるために、有名楽団を連想させるような紛らわしい名称を付けている。また、誇大宣伝などを使って虚偽のパッケージを作り、チケット料金を不当に引き上げるなどの問題が起きている。

 オーストリアの、あまり有名でない「交響ウィーン管弦楽団」が以前、「ウィーン交響楽団」と名乗り観客をだましたことがあった。欧米の大学や音楽学校の長期休暇期間に臨時で結成された楽団でさえ、「百年の歴史」「王室」「シュトラウス」「フィルハーモニー」などの文言で中国の観客の目を欺く。問題点を指摘されても、「中国語の翻訳に問題があった」と言えば済んでしまう。

 しかしこの5年ほど、耳の肥えた中国人が増え、中国の主要都市ではこうしたうそが通用しなくなってきており、最近では地方都市で見かけるようになった。

■監督・管理が困難

 業界関係者はずさんな監督・管理方法を指摘する。海外の楽団結成の敷居は低く、大学生やアマチュアでも楽団を作れる。

 また、楽団を中国国内に招く国内外の仲介企業にも、一部こういった「非一流」楽団の片棒を担いでいる企業が存在する。ある企業はオーストリアにペーパーカンパニーを作り、演奏会が終わると即看板を下ろし、追及から逃れた。

 中国の文化監督・管理部門も詳細を審査し、真偽を見分けることが難しいという。

 音楽という、実体のない特殊な商品であることも、後に追及できない原因だ。演奏の質に問題があっても、観客は泣き寝入りするしかない。

■目指すは民族音楽のイノベーション

 中国の楽団も徐々に成熟してきており、優秀な作品も増えてきた。民族音楽会も注目されている。伝統音楽に、時代の特徴や観客の好みを融合させるなど、民族音楽もイノベーションが必要だ。

 文化の奥義、中国ならではの風格や観客の生活、心理に寄り添った民族音楽会が盛り上がれば、「偽楽団」が付け入る隙はなくなるだろう。(c)東方新報/AFPBB News