【4月5日 AFP】米国の公民権運動を率いた故マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr.)牧師の暗殺から50年となった4日、首都ワシントンなどで追悼集会が開かれた。

 ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者でもあったキング牧師は1968年4月4日、滞在していたテネシー州メンフィス(Memphis)のモーテルのバルコニーで白人至上主義者の狙撃を受け、39歳で死去。キング牧師を公民権運動指導者から反人種差別闘争の象徴へと変えた暗殺事件の記憶は、米国民の心に深く刻まれている。

 米社会が依然として人種・階級問題で分裂する中、メンフィスに加え、同牧師が歴史的な「私には夢がある」の演説を行ったワシントンでも抗議デモが行われた。

 メンフィスのデモに参加したキング牧師の長男で活動家のマーティン・ルーサー・キング3世(Martin Luther King III)は、ABCテレビの番組「グッド・モーニング・アメリカ(Good Morning America)」のインタビューで「人種関係の状態を見れば、この50年間で劇的な進歩があった。だがわれわれがあるべき状態にはまだ遠く及ばない」と語った。

 同氏は「現在語られていることの中には、父が落胆するようなものもある」と述べたが、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」や女性の権利向上を求める「#MeToo(私も)」、そして高校生が主導する銃暴力への反対運動といった最近の運動について父は「非常に喜ぶ」だろうと表明。「父は、われわれが国として改善することは可能かつ必要であり、必ず実行する決意だということを知るだろう」と語った。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、メキシコ系やイスラム教徒の移民に批判的な発言や、衝突により死傷者が出た白人至上主義者の集会を直ちに非難しなかったことにより、激しい批判を浴びてきた。

 トランプ氏は2018年4月4日を、キング牧師をたたえる日とする声明を発表し、同牧師に敬意を表明。「われわれは団結した国民として、キング氏が生涯をかけた使命をよく理解し、人種差別、非人道性、その他われわれを分断しようとするもの全てを非難しなければならない」と述べた。(c)AFP/Eleonore Sens, with Maggy Donaldson in Washington