【4月7日 AFP】男性にぽかんと見つめられるたび、駅の改札で切符を確認するマヒマ・ドゥット・シャーマ(Mahima Dutt Sharma)さんは、あきれた顔をする。シャーマさんは、インドの州間鉄道で唯一、女性のみで運営されている駅で働いている。

「情報はすべて案内表示板に掲載されているにもかかわらず、彼らは何度も何度もどうでもいいようなことを聞きに来るんです」とシャーマさんはAFPに話す。インド西部ラジャスタン(Rajasthan)州の州都ジャイプール(Jaipur)にある分岐駅ガンディナガル(Gandhinagar)では、駅長や駅員が女性であることに驚く人も多い。

 時代の先駆者である彼女たちは、保守的なラジャスタン州で新境地を開いているだけではなく、女性は家にいるべきというインドの社会規範をも打ち破っている。

 インドは、世界で最も急速に経済成長を遂げている国に数えられるが、女性の雇用率が最低の国の一つでもあり、この傾向は悪化している。就労する女性は減少傾向にあり、特に人口の大半が集まる地方では、その傾向が顕著だ。世界銀行(World Bank)によれば、女性の方が学校教育を受ける期間が長いが、大学の学位を持つ女性のうち3分の2は労働していない。

 ジャイプール鉄道局の局長で2児の母サウミャ・マトゥール(Saumya Mathur)さんは、この駅を利用する若い女性たちが女性駅員たちを見て「自分を信じる」ことができるようになってくれたら、と話し、こう続けた。

「女の子に、やりたいことはなんだってできるという気持ちになってもらうには、ほんの少し背中を押してあげることが必要なんです。そうすれば、昔は考えもしなかったことを夢に描くことができるようになるのです」(c)AFP