【3月10日 AFP】平昌冬季五輪のスノーボードとスキーで2冠を達成する冬季五輪史上初の快挙を成し遂げたチェコのエステル・レデツカ(Ester Ledecka)が、右足のスキーブーツに割れ目が入っていた状態でアルペンスキー女子スーパー大回転の金メダルを獲得したことが判明した。同選手のコーチを務めるトーマス・バンク(Tomas Bank)氏が9日、AFPの取材で明かした。

 現在22歳のレデツカは、平昌五輪の女子スーパー大回転を制して世界に衝撃を与えると、その1週間後には本職であるスノーボードの女子パラレル大回転で2個目の金メダルを手にした。ところがバンク氏によると、同選手がスーパー大回転で着用したブーツのバックルの一部には、スタート前にひびが入ってしまったのだという。

 バンク氏はAFPに対し、「そのためブーツは少し安定性を欠いていて、違和感があった」とすると、「彼女はたくさんブーツを持っていたが、何度テストしてもその一足が最もスピードが出た」と語り、レデツカにはスペアブーツを履いてレースに臨むという選択肢はなかったと付け加えた。

「このブーツだといつも0秒5は速いので、彼女はこれを履いてレースに臨むと言い張る。ブーツは10足ほど持っているが、これよりも速いものは見つからない」

 先月17日の女子スーパー大回転でゼッケン番号26をつけたレデツカは、ソチ冬季五輪の金メダリスト、アンナ・ファイト(Anna Veith、オーストリア)を0秒01差に抑えて優勝する番狂わせを演じ、競技後には国際オリンピック委員会(IOC)関係者からも称賛の声が上がった。(c)AFP