【3月7日 AFP】子どもたちが受けるワクチンの接種回数は以前の世代に比べてはるかに増えているが、それによって子どもの免疫力が低下したり、他の感染症にかかりやすくなったりすることはないようだとする米国の研究論文が6日、米国医師会雑誌(JAMA)に発表された。

 現在推奨されている最大16回のワクチン接種を含む予防接種スケジュールと、米国の子どもが受けるワクチンと無関係な感染症や病気の発症率との間の関連性を調査したのは今回の研究が初めてとなる。

 論文の共同執筆者で、米医療団体カイザー・パーマネンテ(Kaiser Permanente)の小児科医マシュー・デイリー(Matthew Daley)氏は「米国全土の親たちがワクチンの安全性について疑問や懸念を抱いているのは理解できる」と語る。

「ただ今回の研究で、ワクチン接種が原因で免疫系が損なわれ、子どもたちが感染症にかかりやすくなるようなことはないとみられるということが分かった。この結果が予防接種の推奨スケジュールに関するさらなる安心感を親たちに与えることが期待される」

 研究では、呼吸器や胃腸の病気やその他のウイルスや細菌の感染症と診断された子ども193人から無作為に抽出したサンプルを、感染症と診断されなかった子ども751人の対照群と比較した。

 研究チームは、子どもの生後2年間におけるワクチン抗原への暴露レベルを調査し、その後の感染症発症との関連を調べた。ワクチン抗原は体内の免疫反応を誘発するタンパク質や他の物質だ。

 論文によると、この子どものワクチン抗原への総暴露量は「その後の24か月におけるワクチン対象外の感染症発症リスクの上昇とは関連がなかった」という。

 論文の主執筆者で、米カイザー・パーマネンテ・コロラド健康研究所(Colorado Institute for Health Research)上級研究員のジェイソン・グランツ(Jason Glanz)氏は「幼児期に多数のワクチンを受けることで、子どもが免疫系を損ない、その後に感染症を起こしやすくなるとの懸念を抱く親もいる」と話す。「しかし今回の研究は、幼児の免疫系に負担をかけすぎるとする説は非常に疑わしいことを示唆している」

 専門家らは親たちに対して、ワクチンの安全性が心配な場合はかかりつけの小児科医に相談するよう勧めている。(c)AFP