解ける永久凍土と目覚める病原体、ロシア北部の炭疽集団発生
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【8月15日 AFP】ロシア極北ヤマロ・ネネツ(Yamalo-Nenetsky)自治管区で今月初めに起きた炭疽(たんそ)の集団発生で、先週までに23人の感染と少年1人の死亡が確認された。同国政府は感染拡大を防ぐことを目的にレスキュー隊や兵士らを数百人規模で配備した。
ロシア北部同自治管区にあるヤマル(Yamal)半島での集団発生については、炭疽菌に感染したトナカイの死骸が永久凍土の融解により露出し、他の動物に感染したことが感染拡大の原因と考えられている。
今後の懸念は、温暖化によって永久凍土が解け、その他の病原体が今回と同じように露出することだ。中には氷河時代にまでさかのぼる病原体もあると考えられている。
「今回の感染は、70年前に炭疽菌の感染で死んだ動物の埋葬地で氷が解けたために起きた可能性が高い」と、永久凍土の生物学的問題に取り組む「Institute for Biological Problems of Permafrost Zone」の研究所所長は述べる。
ロシアは世界平均よりも2.5倍の速さで温暖化が進んでおり、また北極に近い地域では同国のその他の地域よりもさらにその進み方が早い。
カラ海(Kara Sea)とオビ湾(Gulf of Ob)に挟まれたヤマル半島には、トナカイの遊牧をする人々がわずかだが住んでいる。ヤマル半島の今年7月の最高気温は35度に達した。これは、例年より8度ほど高いという。
炭疽は、炭疽菌の感染によって起きる感染症で、動物からも感染する。皮膚接触により自然感染することが多く、感染すると皮膚に黒い病斑ができる。治療を受けなければ、死に至ることもある。
北極には炭疽菌以外の病原体が何世紀にもわたって眠っているとされ、これらは氷の融解とともに露出する恐れがあると考えられている。
疫学研究所「Central Research Institute of Epidemiology」のビクトール・マレイエフ(Viktor Maleyev)副所長によると、同国北部には、19世紀末に天然痘が流行した際の感染体埋葬地がある他、最近では、マンモスの死骸の中からも「巨大なウイルス」が新たに発見されているという。これについては、詳細はまだ特定されていないが、同氏は、研究の継続を訴えている。