【3月2日 AFP】ロシア国旗の前に横たわって選挙公報を読む様子のトップレスの女性モデル、「大人の世界にようこそ」という文字とともに誘いかけるような表情で投票を行う黒い下着姿の若い女性――今月に投開票が行われるロシア大統領選が盛り上がりに欠ける中、男性誌マキシム(Maxim)ロシア版には性的な写真とともに大統領選への投票を呼び掛けるキャンペーンが掲載され、インターネット上にも同じような内容の動画が次々と投稿されている。

 このような「成人向け」の内容のキャンペーンに誰が資金提供しているのかは不明だが、大統領選への国民の関心を高め、投票率を向上することが狙いだとみられている。若者の有権者に向けてソーシャルメディアやユーチューブ(YouTube)にもキャンペーン動画が投稿されており、大統領府(クレムリン、Kremlin)にとっては好ましくない状況のようにもみえる。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は具体的な政策案を何一つ出していないにもかかわらず、3月18日の選挙では再選を保証されているも同然で、当局の大きな関心は投票率だ。

 プーチン氏に強い権限を与えるためにも、クレムリンは投票率70%を目指しているとされる。一方、大統領選への立候補を禁じられている野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏は、この選挙を形ばかりのものと非難し、ボイコットを呼び掛けている。

 マキシム誌の編集者であるアレクサンドル・マレンコフ(Alexander Malenkov)氏は、昨年秋に同誌で行われた性的な画像を使った投票キャンペーンに資金を提供した人物について、詳細を明かすことはできないと述べている。撮影現場の舞台裏の映像は、オンラインで100万回以上再生されている。

 ロシアの政治アナリスト、コンスタンティン・カラチェフ(Konstantin Kalachev)氏は「大統領選まで数週間あるが、プーチン氏に(選挙運動の)予定はない。自身の選挙活動に関する動画にさえ登場しない。選挙を儀礼過程ととらえているかのようで、プーチン氏自身は選挙にうんざりしているのだ」と指摘。

 プーチン氏は1999年以来、大統領または首相として権力の座にあり続けているが、カラチェフ氏は「こうした選挙では投票率に強い関心が集まる」との考えを示している。(c)AFP/Theo MERZ