【2月7日 AFP】9日の開会式を目前に控える中、凍える寒さが話題となっている平昌冬季五輪だが、この環境にはカナダの選手さえもが「悪夢だ」と話している。

 6日は日中の最高気温が氷点下7度に届くかどうかといったところで、体感温度は厳しい風の影響でそれよりもさらに低かった。そして夜には、2日連続で氷点下20度にまで落ち込んだ。

 この寒さには、カナダのアルバータ州エドモントン(Edmonton)出身で、厳しい冬には慣れているはずのスケルトン選手の一人も「こたえるのは湿気だね。そのせいで、冷えるだけじゃなくて寒さが骨身に染みる。最悪なのは風。選手村の移動はさながら悪夢だ。寒いのに慣れている僕らカナダ人がこんなことを言うのはおかしいけど、経験にない寒さだよ」と漏らしている。

 あまりの寒さに、9日の開会式を欠席せざるを得ないと考える選手や関係者も出てきている。開会式は夜に行われるうえ、会場は屋根のない吹きさらしだからだ。イタリア代表では、心臓の問題や糖尿病を抱えているスタッフは出席を控え、選手は常に体を動かしているよう指示が出ている。ニュージーランドも、一部の選手が出席を見合わせる可能性があるという。

 一方、先ほどのスケルトン選手は一大イベントを逃すつもりはないようで「僕のように初めて五輪に出場する選手は、カナダ代表として入場して、自分以上の大きな存在になれるのをすごく楽しみにしている」と話しており、チームメートも「個人的にはまったく心配していない。小さいころからずっと追いかけてきた夢なんだ。開会式では誇りを胸に、笑顔で手を振りながら入場するよ。寒かろうが、凍えようが、何時間も立ちっぱなしだろうがね」と続けた。

 予報によると9日は割合に暖かく、昼間は氷点下を脱する可能性さえあるということで、これは選手と3万5000人の観客にとっては朗報だろう。参加者には手や足用のカイロをはじめとするサバイバルキットも配られるという。

 オーストラリアの選手団長を務めるイアン・チェスターマン(Ian Chesterman)氏は「われわれのチームからは、全選手の約半数が入場行進に参加する予定で、これは素晴らしいことだと思う」と話した。

「夏季大会にしろ、冬季大会にしろ、五輪を味わうよりも競技でのパフォーマンスを優先する選手がいるのは理解しているし、それはそれで正しいことだ。ただ、オーストラリアからは多くの仲間が開会式に出席するし、参加した面々にとっては楽しい経験になると思う」 (c)AFP/Peter STEBBINGS