【2月7日 AFP】(更新、写真追加)米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)は6日、同社が開発した世界で最も推進力の大きなロケット「ファルコンヘビー(Falcon Heavy)」を初めて試験的に打ち上げた。

 ロケットは同社のイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)が所有する赤いテスラ(Tesla)製オープンカーと、宇宙服を着たマネキン人形を火星近くの軌道に送る予定。

 打ち上げが行われたのは、米国による40年前の月探査ミッションの拠点ともなったフロリダ州ケープカナベラル(Cape Canaveral)にある米航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センター(Kennedy Space Center)。巨大なファルコンヘビーが、搭載する27基のエンジンに点火し、ごう音を上げながら青空へと進むと、見守っていた人々から歓声が湧き起こった。

 打ち上げから約2分後、ロケットの両側に付けられていた2つのブースターが切り離されて地上へと向かい、直立した状態で着陸した。ライブ中継の動画は、両ブースターが並んで一緒に発射台に着陸する様子を映し出した。

 3つ目の中央ブースターは海上発射台に着陸する計画だが、その状況はまだ分かっていない。

 スペースXは、ファルコンヘビーは「現在世界で利用できるロケットの中で、2倍の規模を持って最も強力なもの」だとしている。これはペイロード(有効搭載量)が競合する米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のデルタIVヘビー(Delta IV Heavy)ロケットの2倍であることを意味する。

 1回の打ち上げ費用も大幅に安く、競合ロケットの3億5000万ドル(約380億円)に対しファルコンヘビーは約9000万ドル(約100億円)で済むという。

 ファルコンヘビーは全長70メートル。ファルコン9(Falcon 9)ロケットを3機束ねたような構造になっており、27基のエンジンを搭載している。64トン近くの物資輸送が可能で、これはボーイング737(Boeing 737)型機の最大離陸重量にほぼ匹敵する。

 ファルコンヘビーの打ち上げ能力は現在使われているロケットの中では最も大きいが、アポロ(Apollo)計画で宇宙飛行士たちを月に送り込んだサターンV型(Saturn V)ロケットや1987年と1988年に打ち上げられた旧ソ連のエネルギア(Energia)ロケットの打ち上げ能力はもっと大きかった。

 マスク氏が6日明らかにしたところによると、ファルコンヘビーは当初、月や火星に人間を送る可能性を取り戻そうとして設計されたが、計画は変更となり、現在は主に深宇宙への機器輸送に使うことが検討されている。(c)AFP/Jim WATSON, with Kerry SHERIDAN in Miami