【2月2日 AFP】2016年米大統領選のドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営に対する連邦捜査局(FBI)の捜査で職権乱用があったと主張する文書が公開される見通しとなり、ホワイトハウス(White House)とFBIの間で緊張が高まっている。

 4ページにわたる同文書は、下院情報特別委員会委員長を務める共和党のデビン・ニューネス(Devin Nunes)議員がロシアのスパイ活動をめぐる複数の極秘文書に基づき書いたもので、司法省とFBIが非常に政治的な反トランプ機関と化していることを示す内容とされている。

 FBIのクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官と司法省のロッド・ローゼンスタイン(Rod Rosenstein)副長官はいずれも、議会とホワイトハウスに対し文書公開を控えるよう要請。文書が公開されれば、ホワイトハウスは、司法省や各情報機関、民主党議員や多数の共和党議員と真っ向から対立することとなる。

 問題の文書には、FBIが2016年、ロシアと多くの接点を持っていたトランプ陣営顧問カーター・ペイジ(Carter Page)氏を監視するため、外国情報監視法(FISA)に基づく捜査令状を取得した際の内幕がまとめられている。

 ニューネス議員によれば、令状申請の土台となったのは、元英国諜報員のクリストファー・スティール(Christopher Steele)氏がトランプ陣営とロシア政府の接点に関する情報をまとめた「ロシア報告」だった。

 同報告は裏付けに欠けており、その内容をめぐる議論が現在も続いている。また、調査報酬の一部が民主党のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)陣営から支払われていたことから、FBIと司法省の組織内での反トランプ的な偏りと権力乱用を示していると、ニューネス議員は主張している。

 FBIは先月31日、「文書の正確性に根本的に影響する重要な事実の欠落について、大きな懸念を抱いている」とする異例の声明を発表。この声明に署名はないが、レイ長官の承認を受けて出されたものと考えられる。

 あるホワイトハウス当局者は1日、トランプ大統領は文書公開を問題視しておらず、議会による公開を「おそらく」2日に承認すると説明。「その後は議会次第だ」と述べた。(c)AFP