【12月3日 AFP】各界の大物の性的スキャンダルが相次ぐ米国で、今度はニューヨークのメトロポリタン・オペラ(Metropolitan OperaMet)の名誉音楽監督を務める著名指揮者ジェームズ・レバイン(James Levine)氏が1980年代に10代の少年に性的虐待を行っていた疑惑が浮上した。

 米紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)は2日、現在48歳になる男性がレバイン氏から性的被害にあっていたとイリノイ州レークフォレスト(Lake Forest)の警察に訴え出た。この男性は15歳だった1985年、当時41歳だったレバイン氏から性的虐待を受けた。虐待は1993年まで続き、男性は自殺を考えるところまで思い詰めたという。

 メトロポリタン・オペラは世界最高峰のオペラ団であり米国でも格式高い芸術団体。この問題についてAFPが問い合わせたところコメントは得られなかった。ニューヨーク・ポストの報道によれば、メトロポリタン・オペラの総支配人は2016年にレバイン氏の性的虐待疑惑を知らされていたという。

 クラシック界の巨匠とされるレバイン氏が初めてメトロポリタン・オペラを指揮したのは1971年。それ以降、85演目、2500回以上の公演を指揮した。三大テノールの故ルチアーノ・パバロッティ(Luciano Pavarotti)氏やプラシド・ドミンゴ(Placido Domingo)氏とも共演している。

 メトロポリタン・オペラの音楽監督を40年間務めたが、パーキンソン病を患っていたことから健康上の理由で2015~16シーズンを最後に引退。その後は名誉音楽監督に就任した。

 2日にはリンカーンセンター(Lincoln Center)でジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi)の「レクイエム(Requiem)」を指揮したが、それから間もなくニューヨーク・ポスト紙は疑惑を報じた。

 イリノイ州の出訴期限法によりすでに時効になっているため刑事責任を問うことはできないが、同紙によるとレークフォレスト警察は捜査結果を州検察当局に送ったという。(c)AFP/Jennie MATTHEW