【11月2日 AFP】朝鮮戦争(Korean War)が1953年に休戦という形で終結するまでに数百万人が犠牲となり、韓国は焦土と化した。この戦争の間、ソウルは4度、占領された。

 現在、韓国の首都ソウルは、ITテクノロジー、Kポップ、美容整形術で有名で、市内の人口は約1000万人、首都圏一帯にはさらに多くの人が住む。

 だが、ソウル一帯の住民は今でも北朝鮮の大砲兵隊が狙える射程内にある。朝鮮半島を分断する軍事境界線と非武装地帯(DMZ)までは、車で北へわずか1時間。核兵器で武装する北朝鮮と新たな軍事衝突が起これば、格好の標的となるだろう。

 たとえ核兵器を用いない従来型の戦闘だとしても、第2次朝鮮戦争が起きれば最初の1日で、韓国側の死者は数万人に上ると専門家らはみている。

 今年に入ってから朝鮮半島情勢は緊張に満ちている。北朝鮮は6度目の核実験を実施し、米本土が射程に入るとみられるミサイルの発射実験も行った。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、戦争をちらつかせた威嚇と個人的な侮辱の応酬を繰り広げている。そうした中、トランプ大統領はアジア歴訪の一環として11月7日にソウルを訪れる。

 北朝鮮側はトンネルや側溝に隠す形で韓国との国境沿いに、約1万発の砲弾と少なくとも500発の短距離ミサイルを配備しているとみられている。また韓国の推計によると、北朝鮮軍の陸上部隊の兵力は110万人程度で、うち7割はDMZから100キロ以内に駐留している。一方、米国防総省の2015年の報告書によると、北朝鮮が保有する兵器の大半は、ロシアまたは中国製で老朽化している。

 だが、北朝鮮政府が「ソウルを火の海にする」とたびたび威嚇しているように、軍事衝突が起きれば北朝鮮軍は最初の数時間で可能な限り最大の攻撃に出る、というのが専門家らの見方だ。