2015年11月、丁さんは手術を受け、太ももに大きな穴を開けたという。その時の痛みを「腰椎をかかとで思い切り踏みつけられて、その後同じ場所をゾウに踏みつけられたような感覚」と表現している。

 身体の痛みは幾度となく丁さんを苦しませ、その度に諦めそうになったという。辛い闘病のさなか、熊頓(Xiong Dun)という女性エッセイ漫画家が、自身の闘病生活を面白おかしくつづった『出て行け!』という漫画作品にインターネット上で出合った。作者は、29歳でリンパがんのために亡くなっていた。作品を読んで感動した丁さんは、自分の闘病生活も記録しなければとすぐにペンを執った。大学生の頃に漫画を描いたこがあったのだ。

 第1話は、『そのうち毒殺してやる』。主人公の「丁神経」が毎日服用している山のような薬を使って、「腫瘍君」を「毒殺」してやるのだという。

 丁さんは一日中描き続けた。何日か安静にしていなければならない日もある。丁さんにとって、漫画は生き甲斐になっていった。徐々にファンもでき、更新を楽しみにしているという。7歳の娘も漫画のファンで、「戦争はどこまで進んだの?」といつもと聞いてくるという。

 「これは僕の第2の人生。以前は気付かなかった色々なことに気づかせてくれた。命や家族の大切さを、今まで以上に知った。何か月も先のことは考えていない。1日1日大切に過ごさなければいけないと思っている」と話した。(c)東方新報/AFPBB News