【10月13日 AFP】南極大陸で今年生まれたペンギンのひなが大量に餓死していたことが13日、明らかになった。海氷の異常な厚さが原因で餌場が遠くなったためだという。調査を行ったフランスの自然科学者らは「壊滅的な繁殖の失敗」と述べている。

 研究者らは世界自然保護基金(WWF)の支援を受け、2010年から東南極(East Antarctica)でアデリーペンギンのつがい1万8000組を追跡調査してきた。だが、2017年の繁殖期を生き残ったペンギンのひなは2羽だけだったという。

 大量死の原因は、今夏後半に海氷が広範囲に及んだことだと研究者らはみている。親ペンギンが遠くの餌場まで行かざるを得なかったため、大半のひなが待っている間に餓死してしまったと考えられる。

 ペンギンのコロニー(営巣地)に隣接するデュモン・デュルビル(Dumont D'Urville)調査基地に滞在して調査に当たっているヤン・ロペールクデール(Yan Ropert-Coudert)研究主幹は、2010年にメルツ氷河(Mertz Glacier)から氷山が分離したことによってコロニーに面した海の環境ががらりと変わったことが影響しているとAFPに述べた。

 次の繁殖期には海氷の状況は改善するとみられるが、繁殖状況が好転するかどうかは「残念ながら全く分からない」という。(c)AFP