■バルモラル城のライチョウ追い出し係

 実際、イシグロ氏は作家になる前にいくつかの職に就いている。例えば、スコットランド(Scottland)のバルモラル(Balmoral)城でエリザベス皇太后(Queen Mother)の催す狩猟会でのライチョウを追い出す係や、グラスゴー(Glasgow)とロンドンでのソーシャルワーカーなどだ。

 作家としての活動を始めたのは、ソーシャルワーカーとして働いていた時期に休職し、イースト・アングリア大学(University of East Anglia)に入学したことがきっかけとなった。大学院創作学科で学び、その才能が出版社の目にとまったことから契約書にサインするに至ったのだという。

 同氏は1982年から作家活動に専念。評論家からの好評価を得ながら商業的にも成功を収めた。

 イシグロ氏は5日の記者会見で、日本人としてのルーツを生かし続けることを模索していると述べ、それがおそらくグラフィックノベルといった意外な形になると話した。

「これは自分にとって新しく、日本で漫画を読んでいた子ども時代と再会させてくれることでもあるため、とても興奮している」と語った。(c)AFP/Joe JACKSON