■ARTのウイルス抑制による防御効果

 パートナーのうち一方がHIVに感染している男性の同性カップルに関する研究で、感染しているパートナーがARTでウイルス抑制に成功している場合は、同時に未感染のパートナーを守っていることが示されている。

 この研究チームの1人、豪ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)のアンドリュー・グルリッチ(Andrew Grulich)氏は「こうしたカップルのパートナー間ではHIV感染はゼロだった」と述べた。

 同氏と研究チームは約1年半をかけてカップル330組を追跡研究した。その間に参加者が報告したコンドームなしの肛門性交は延べ1万7000回だった。他の性感染症の感染率は高かったにもかかわらず、HIV感染はなかったことをチームは発見した。

■膣リング

 米国で15~17歳の少女96人を対象に2年間行った調査では、ARV薬(dapivirine)を含んだ膣リングは安全で装着しやすいことが示された。膣リングは常に着けておくことができ、月に1回交換するだけでよい。

 この研究チームによれば、成人女性を対象とした過去の研究では、膣リングがHIV感染リスクを約30%低減させることが分かっている。同様に少女らにも有効かどうかを調べるには、さらなるテストが必要だ。

 同論文の著者らによれば、2015年に新たに診断された大人のHIV感染者のうち、5分の1を占めたのは15~24歳の女性だった。この割合は、1日1000人が感染しているサハラ以南アフリカでは、4人に1人に上昇している。

■「防御」を接種

 HIV治療薬「カボテグラビル(cabotegravir)」などの注射剤については、経口ARVに代わる長期作用型曝露前予防(PrEP)としての研究が進められている。これまでの臨床試験では、2か月ごとの接種でも効果があることが示唆されている。

 今後の試験では、薬剤の持つウイルス抑制効果について調べられる予定となっているという。(c)AFP/Mariëtte Le Roux