■ろうそく奉納や祈祷はオプション料金

 代行の基本料金は2500ユーロだが、オプションとしてろうそく奉納には25ユーロ(約3000円)、祈祷(きとう)には250ユーロ(約3万円)の追加料金がかかる。

 さらに特別料金を払えば、聖地の広場から聖母の出現地とされる礼拝堂まで、最後の400メートルをひざまづいてお参りしてもらうこともできるという。

 ジルさんにとって巡礼は、「情熱の行為」なのだという。「私はカトリック教徒だが、サウジアラビアに生まれていればきっとイスラム教徒になってメッカ(Mecca)を巡礼していただろう」

 ジルさんは幹線道路から遠く外れた田舎道を選んで6日間歩き、法王の来訪前日に聖地入りする。夜は民家に泊めてもらったり野宿したりして200キロの道のりを踏破する予定だ。

 ジルさんの頭にこの「奇抜なアイデア」がひらめいたのは、2001年のことだった。中世には裕福な貴族が、時間がない、体調が悪いといった理由で巡礼代行人を雇っており、「この古くからの伝統を復活」させるべきではないかと思い付いたという。

 とはいえカトリックでは、巡礼代行に対価を支払うことを認めておらず、代行はほとんどの場合秘密裏に行われている。これに対しイスラム教の大巡礼「ハッジ(Hajj)」では、代行はより一般的に行われている。

 ローマ・カトリック教会の「ファティマの予言」運動によると、聖地まで歩いてたどり着き、フランシスコ法王に一目会おうという信者が4万人を超えるとみられている。