観光から食品まで、ハラルで経済振興目指す仏教の国 タイ
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■時代を先取り
10年にわたる政治的混乱にもかかわらず、タイを訪れる観光客は2006年の1380万人から過去最高となった昨年の3250万人へと爆発的に増加している。
欧米人観光客の数はほぼ変わっていないが、もっとも伸びが大きいのは中国人観光客で10年前の94万9000人から昨年は870万人に増加した。
政府統計をAFPが分析した結果、中東やアジアの主要なイスラム教徒が多数派を占める国々からの観光客は2006年の263万人から昨年は603万人に増加したことが分かった。
シンガポールを拠点とするイスラム教徒やハラルを専門に取り扱う観光調査会社クレセント・レーティング(Crescent Rating)の創業者ファザル・バハルデン(Fazal Baharden)氏の推定によると、イスラム教徒の観光客の数は2000年の約2500万人から2015年の1億1700万人に急増しているという。
■ハラル食品改革
鶏肉、シーフード、米、フルーツの缶詰など、タイは以前から世界有数の食品輸出大国でもある。タイでは今、多くの食品会社が顧客層を広げようと、ハラルに対応した商品に切り替えている。
タイ政府は2020年までに、世界でも五指に入るハラル輸出国となることを目指している。
国民の圧倒的多数を仏教徒が占めるタイがハラルを受け入れていることに驚く人もいるかもしれない。
しかし、チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)ハラル・サイエンス・センター(Halal Science Center)のウィナイ・ダハラン(Winai Dahlan)氏は、タイにはハラルへの移行を受け入れやすい土壌があると語る。
タイの人口の5%がイスラム教徒で、反政府組織の活動に悩まされる南部国境地帯以外では、国民の大多数を占める仏教徒とよく統合されている。
タイ国内のイスラム教徒たちが、イスラム教で禁じられているものが使われていないかを調べるハラル試験センターの設置を求めたことがきっかけとなり、同国でハラルがブームとなった。
ヘッドスカーフを身に着けた女性検査技師が豚のDNAが入っていないかどうか食品を調べる中、ウィナイ氏はAFPに対し「15年前はハラル認証を受けた食品工場は500か所しかなかったが、今では6000か所になっている」と語り、同期間にタイ国内で製造されるハラル認証済み商品の数は1万から16万に増えたと補足した。
ハラルへの取り組みはタイに利益をもたらしている、政府の推計によると、同国のハラル食品業界の生産額はすでに年間60億ドル(約6700億円)規模に成長しているという。(c)AFP/Jerome TAYLOR