【3月21日AFP】7時間に及ぶ手術の末に腹部から1000枚近くの硬貨が摘出されたタイのウミガメが、合併症により死んだことが分かった。手術を行った首都バンコク(Bangkok)にあるチュラロンコン大学(Chulalongkorn University)の動物病院の獣医師らが21日、明らかにした。

 25歳だった雌のウミガメは、生息していた池に人々が幸運を願って投げ込んだ硬貨をのみ込み続けていたとみられ、タイ語で「貯金箱」を意味する愛称で呼ばれていた。今月6日に行われた手術では、消化器官にたまっていた計5キロもの硬貨が摘出され、快方に向かっていると考えられていた。

 しかし、先週末にかけて容体が急激に悪化し、腸疾患に伴う敗血症を起こしていたという。

 チュラロンコン大学の動物病院にある水生生物研究センターの獣医師は21日、記者団に対して涙ながらに「午前10時、彼女は安らかな眠りに就いた」と話し、「彼女は私の友人であり、先生であり、患者だった」と語った。

 このウミガメは、チョンブリ(Chonburi)県の公園にある小さな池で20年ほど過ごした。この池では、訪問客がご利益を求めて池に硬貨を投げ入れていた。

 獣医師らは、ウミガメについての一連の報道により、人々が動物の住む池に硬貨を投げ入れることを再考するよう望んでいるという。(c)AFP