【5月4日 AFP】美容整形市場の拡大が止まらない。業界のまとめによると、世界全体では2016年に1兆円の大台を突破。アジア地域をけん引役に今後も右肩上がりで成長する見通しだ。なかでも、レーザー治療やしわ取り薬の注射など、体への負担が少ない施術への需要が伸びている。背景には手術費用が手ごろになってきたのに加え、美容整形が社会的にタブー視されにくくなってきた事情もあるようだ。

 仏パリ(Paris)で先ごろ開催された世界規模の美容学会「IMCAS」の会合で公開されたデータによれば、美容整形の世界市場は2016年に前年比8.3%成長して85億ユーロ(約1兆円)に達した。ざっとバハマの国内総生産(GDP)に匹敵する規模だ。

 さらに2017年には92億ユーロ(約1兆1000億円)、2020年には120億ユーロ(約1兆4500億円)近くに拡大することも見込まれている。

 米ニューヨーク(New York)の外科医で、米国美容外科学会(ASAPS)の理事も務めるノラン・カープ(Nolan Karp)氏は「外科手術にせよ、(体への負担が少ない)低侵襲の処置にせよ、もっときれいになりたい、もっといい気分になりたいといった理由から(美容整形を)行うことは、抵抗感がずっと少なくなっている」と話す。

 国際美容外科学会(ISAPS)の統計によれば、国・地域別に見た2015年の市場規模の上位3か国は、米国、ブラジル、韓国で、合計120万件の手術が実施された。世界全体では2170万件となっている。

 分野別では、米国やブラジル、メキシコ、欧州の大半の国々では豊胸と脂肪吸引が最も人気が高い。一方、韓国では目や鼻、頬、顎の整形に対する需要が大きい。

 IMCASのデータによると、アジア太平洋地域では今後4年で12%と最も急速な成長が見込まれている。2020年には欧州を抜き、域内の市場規模は世界全体の4分の1に当たる30億ユーロ(約3700億円)を突破する見通しだ。