【2月26日 AFP】ブルガリアの公共ラジオ局BNRが、音楽著作権管理団体との「著作権戦争」を受けて少なくとも70年以上前の古い曲だけを流すようになったところ選曲が好評を博し、意外にも聴取率を伸ばしている。

 BNRの経営陣は、音楽著作権の管理団体「ミュージカウトル(Musicautor)」に値上げされた著作権使用料の支払いを拒否。同局はここ2か月ほど、クラシック音楽や懐かしいジャズ、フォークソングだけを流している。

 著作権使用料の支払いを拒否したことでBNRは曲構成から現在の楽曲を減らし、ほこりをかぶったアーカイブから古い曲を発掘することを余儀なくされた。欧州連合(EU)では、著作権の保護期間は作曲者の死後少なくとも70年とされている。

 こうした曲構成の変化がリスナー、特に高齢世代に思いのほか受けた。ブルガリアは高齢化が進んでおり、人口約740万人の約3分の1を年金生活者が占める。

 世論調査会社イプソス(Ipsos)が実施したリスナー調査によると、曲構成が変わった今年1月のBNRの聴取率は2016年第4四半期平均比で20%上昇した。ラジオ局別の聴取シェアは16.5%となり、順位を1つ上げて3位となった。

 思わぬ展開はさらに続き、大勢の若いミュージシャンたちがこの「著作権戦争」を自分たちの楽曲を売り込むチャンスとして生かし、自発的に著作権をBNRに譲渡した。

 BNRはこれまで著作権使用料として年間50万レフ(約3100万円)をミュージカウトルに支払っていた。ミュージカウトルはこの金額は民間ラジオ局の使用料よりもずっと安いとして250%の値上げを希望していた。BNRは1月、ミュージカウトルを相手取って提訴した。

 ミュージカウトル側は「聴取率が上がったというデータは宣伝のための悪あがきにすぎない」「われわれは5年間かけてのゆるやかな値上げを要求しただけだ」としている。(c)AFP/Vessela SERGUEVA