【2月20日 AFP】セルビア・スーペルーリーガのパルチザン・ベオグラード(Partizan Belgrade)に所属するブラジル出身のエべルトン・ルイス(Everton Luiz)が19日、地元ライバルのFKラド(FK Rad)戦で人種差別的な扱いを受け、試合後に涙を流した。地元テレビ局が報じた。

 報道によれば、試合では28歳のルイスがボールに触れるたびに侮蔑的なやじを浴びせられていたほか、昨季のセルビア・カップ(Serbian Cup)を制したパルチザンのMFに対して、一部のファンが侮辱するようなバナーを振りかざし、プレーが一時中断する場面があったとされている。

 別の中継映像では、試合終了の笛が吹かれるとルイスがラドのファンに向かって指を立てるジェスチャーをみせ、一触即発の雰囲気を制止するために警察官が投入される様子が映し出されていた。

 ロッカールームへ引き揚げる際に涙を浮かべていたルイスは、「90分間も観客席から人種差別的な扱いを受けなければならず、涙を抑えられなかった」とすると、「相手選手の態度には、なおさらショックを受けた。彼らは事態を落ち着かせるどころか、侮辱行為をあおっていた」と続けた。

 この試合に1-0で勝利し、リーグ戦で首位レッドスター・ベオグラード(Red Star Belgrade)と勝ち点6差の2位を維持しているパルチザンのマルコ・ニコリッチ(Marko Nikolic)監督は試合後、「セルビアのサッカー界が現実に戻ってしまった」と語った。

 セルビアのサッカー界は近年、人種差別的な行為が続いており、5年前に行われたU-21の試合では、同国のファンがイングランドの黒人選手に対して侮辱的な言葉を合唱する問題が起きていた。

 さらに、欧州選手権2012(UEFA Euro 2012)予選のイタリア戦では、同国ジェノア(Genoa)でセルビアのフーリガンが暴動を起こして試合が中止となった。この試合は、欧州サッカー連盟(UEFA)の裁定によって、イタリアに3-0の勝利が与えられた。(c)AFP