【9月30日 AFP】28日に行われたサッカー欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2016-17)、グループDのFCロストフ(FC Rostov)対PSVアイントホーフェン(PSV Eindhoven)の試合中に、ピッチ上にバナナが投げ込まれた。しかしながらロシアサッカーの関係者は29日、ロストフがすでに人種差別問題で処分を受けていたにも関わらず、問題を軽視する姿勢を見せている。

 ロシアのサッカー界で広がる人種差別の問題は、同国で行われる2018年のW杯(2018 World Cup)を控えていることやロシアサッカー連合(RFS)が人種差別の問題から目を背けている批判を受けていることで、詳細な調査が行われている。

 ロシア通信社Rスポーツ(R-Sport)によれば、2-2の引き分けに終わったこの試合の前半途中、ピッチにバナナが投げ込まれた場面がテレビに映し出されたという。

 ロストフは、8月にホームで行われたアヤックス(Ajax)との試合中にサポーターが人種差別的行為に及んだとして、欧州サッカー連盟(UEFA)から観客席の一部閉鎖処分を受けており、その処分が適用されるなかでPSV戦が行われていた。

 W杯ロシア大会の組織委員長を務めるアレクセイ・ソローキン(Alexei Sorokin)氏はロシア国営タス通信(TASS)に対し、「今回の事件は珍しいもので、今後同様の事態が繰り返されるとは考えていない」と話す。

「われわれは、RFSとともに今後も本件を追いかけるが、スタンドにいる全ての観客をふるいにかけることは不可能だ」

 今回の件について、懲戒処分が下されるかは不明となっている。

 一方、国際サッカー連盟(FIFA)は今週、同連盟の反人種差別の対策委員会はそのミッションをすでに果たしたとして解散を発表したことで、批判を集めている。

 RFS関係者と会談を行ったFIFAのファトマ・サムラ(Fatma Samoura)事務総長は26日、RFSは「多様性に関して理解があり、差別とも戦っている」と語っていた。

 侮辱行為や黒人選手に対するモンキーチャント(猿の鳴きまね)などの人種差別事件は、ロシアおよび欧州諸国におけるサッカーの試合で頻発している。(c)AFP