【2月7日 AFP】イタリアの首都ローマ(Rome)市内各所に突如出現したローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王を批判する200枚以上のポスターをめぐり、イタリアの警察当局が掲示した人物を追跡している。

 先週4日にローマ中で見つかったポスターは、厳しい表情のフランシスコ法王の肖像にかぶせて、法王に対する非難の言葉が書き連ねられ、最後に「あなたの慈悲はどこに?」と記されている。ローマ市当局は200枚のポスターを撤去し、残りも覆いかぶせるなどの措置を取った。

 警察は監視カメラの映像を徹底調査して、貼った人物を捜している。書かれている批判の内容から当局では、カトリック教会内部の保守勢力の関与が疑われている。ポスターは現地の方言で書かれていたという。

 2013年に選出されたフランシスコ法王は、カトリック教会が伝統的に罪としてきた人々(例えばシングルマザーや同性愛者)に関する審判を拒んでいることから「進歩的」な態度だとたたえる勢力がある一方で、「リベラル」すぎると批判する勢力もある。カトリック教会の総本山があるバチカン市国の雰囲気はとげとげしさを増しており、保守派との対決もあり得るとささやかれている。フランシスコ法王は昨年末、どんな内紛があろうとも「眠れなくなることなどない」と述べた。

 ローマでは昔から、匿名のポスターによって政治的主張を表明する伝統がある。古代ローマでは抵抗を示す落書きがよく用いられ、16世紀以降は批判をつづった詩や機知に富む言葉が、市内の有名な彫像に吊るされることなどもある。(c)AFP/Ella IDE