【2月6日 AFP】(更新)5日開催された米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の王者決定戦、第51回スーパーボウル(Super Bowl LI)のテレビ中継で、複数の企業が政治的なメッセージを含むとみられるコマーシャルを放映し、賛否両論の声が上がっている。

 スーパーボウルの中継では、あからさまに政治的なテレビCMは避けるのが通例だ。しかし、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領による難民・移民の入国制限令が物議を醸す中、米民泊仲介サイト大手「エアビーアンドビー(Airbnb)」は、多文化主義をアピールするCMをハッシュタグ「#WeAccept(私たちは受け入れる)」と共に放映した。

 長さ30秒のCMには、人種や性別、年齢の異なる人々の顔写真が次々と登場。その上に「あなたが誰であれ、どこの出身であれ、誰を愛し、そして何を信仰していようとも、私たちは同じだ」という文章が映し出される。

 さらに、エアビーアンドビー創業者のブライアン・チェスキー(Brian Chesky)最高経営責任者(CEO)は、今後4年で400万ドル(約4億5000万円)を難民支援団体「国際救援委員会(IRC)」に寄付するとツイッター(Twitter)で発表。「わが社の最終目標は、今後5年間で生活困窮者10万人に短期宿泊施設を提供する」ことだと投稿した。

 米国で最も人気が高いビールのブランド「バドワイザー(Budweiser)」は、ドイツ出身の創業者アドルファス・ブッシュ(Adolphus Busch)が米国に移民としてやって来た物語を描いたCMを流した。

 一方、住宅リフォーム建材小売の「84ランバー(84 Lumber)」は、米国を目指してメキシコの砂漠を旅する母娘を描いたとみられるCMを放送。このCMの「完全版」はインターネットで見てほしいとして視聴者を誘導した。動画投稿サイトのユーチューブ(YouTube)に「テレビで放映するには問題が多すぎる」というキャプション付きで公開されている完全版ではこの母娘が巨大な壁に阻まれ立ち往生するが、最後に「成功を求める意志は、ここでは常に歓迎される」とのメッセージが表示される。

 スーパーボウルは米国最大のテレビ視聴者数を誇るスポーツイベントで、今年は1億1000万人超がテレビ観戦したとみられている。(c)AFP