【1月10日 AFP】マレーシアに拠点を置く国際海事局(IMB)が10日に発表した報告によると、2016年に世界の海洋で起きた拉致事件の件数は、過去10年間で最高だったことが分かった。中でも、フィリピン南部沖で危険が高まっている点が目立っているという。

 近年、海賊による襲撃事件は全体的に減少しており、2015年における世界全体の総数246件から、2016年は191件に減った。しかし、身代金目的の拉致被害者は2014年の9人、2015年の19人に比べ、2016年は62人と大幅に増加した。

 IMBは「スールー海(Sulu Sea)からフィリピン南部沖にかけて航行する商船を襲撃し、乗組員らを拉致する事件が目立って増加している」とし、船主らにマレーシア東部とフィリピンの間に位置するスールー海を避け、ボルネオ(Borneo)島の西方を迂回(うかい)するよう呼び掛けている。

 スールー海では昨年、イスラム過激派組織「アブサヤフ(Abu Sayyaf)」や関連組織の武装集団による船舶襲撃と身代金目当ての人質事件が相次いだ。アブサヤフはフィリピン南部諸島のへき地や山間部を拠点とする組織で、リーダーはイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓っているが、アナリスト筋によれば、金銭目当ての拉致に活動をより集中させている。

 IMBではスールー海以外の危険海域として、昨年9件の事件で船員34人が拉致されたギニア湾(Gulf of Guinea)を挙げている。また、ナイジェリア沖の海賊事件は2015年の14件から、昨年は36件に増えている。また15年までは事件がなかったペルーでは昨年、11件の海賊事件が起きており、うち10件は主要港のカヤオ(Callao)に集中している。

 一方で、ソマリアを拠点とする海賊などによる襲撃への対応策として東アフリカ沖で国際海上パトロールが開始されたことを受け、2012年以降、海洋襲撃事件の総数は減少傾向にある。パトロールが効率化し、インドネシア沖でも襲撃の件数は減っている。(c)AFP