【12月22日 AFP】米国体操連盟(USA Gymnastics)で昨年までチームドクターを務め、選手に性的暴行をしたとして起訴されたラリー・ナサール(Larry Nassar)被告に対し、ミシガン(Michigan)州連邦裁判所は21日、児童虐待疑惑に関する新たな証言を受けて保釈を認めない決定を下した。

 性的暴行疑惑が拡大しつつあるナサール被告は、複数の告発が表面化し、今年9月に勤務先のミシガン州立大学(Michigan State University)から解雇されていた。

 米メディアの報道によると、米連邦捜査局(FBI)の証言で、同被告が所有するパソコンのハードディスクから3万7000件に及ぶ児童ポルノの画像やビデオが押収されたことが明らかになったのを受け、連邦裁判所は同日、保釈を認めない命令を下したとされている。

 さらに一部地元紙は、FBIのロッド・チャールズ(Rod Charles)捜査官が法廷審問で証言した内容として、押収されたビデオには、ナサール被告がプールで少女に性的虐待を加えている様子が映っていたと伝えている。同被告は、有罪が確定すれば最大で禁錮40年の刑に直面する可能性がある。

 捜査が続行される中、ナサール被告がミシガン州内外をはじめ、海外でも同様の犯行に及んでいたとされる情報が多く寄せられていると、検察側は訴えている。

 また、ミシガン州立大学の元ソフトボール選手であるティファニー・ロペス(Tiffany Lopez)氏も同日、学生アスリートだった1990年代後半に何度もセクハラ行為を受けたとして、大学とナサール被告を相手取り、カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)で訴訟を起こした。

 事件を告発したロペス氏によれば、虐待行為が行われたのは、持病の腰痛を治療している最中だったという。

 ナサール被告は先月、13歳未満の児童に対する性的行為でミシガン州検察から起訴された。被害者は体操選手や患者とは無関係の子どもだったとされている。

 AFPの取材に対し、同被告の弁護士はコメントを避けているが、被告本人はすべて否定していると報道されており、州と連邦裁判所に対しても無罪を主張しているという。

 ナサール被告への告発は、先日米インディアナポリス・スター(Indianapolis Star)の記事で、少なくとも368人の若手体操選手が、コーチや競技関係者から性的暴行を受けたと報じられた米体操連盟への疑惑が発端となっている。(c)AFP/Nova SAFO