【1月3日 AFP】ミャンマーの最大都市ヤンゴン(Yangon)郊外のパゴダ(仏塔)が夕闇に包まれるなか、歩み寄ってきた政府軍の将校は青年に2つの選択肢を与え、どちらかを選ぶよう迫った――刑務所に行くか、それとも少年兵としてミャンマー軍に加わるか。その場に一人きりでいたスー・テッ・トゥー(Su Thet Htoo)さんは、恐怖心から少年兵になることを選んだ。

 それが当時16歳だったスー・テッ・トゥーさんの2年間におよぶ苦難の始まりだった。家族から切り離され、訓練で殴られ、前線に送られた。ついにはアルコール依存症にもなった。

 ミャンマーには軍の兵士と反政府武装勢力の戦闘員が合わせて推定50万人いるとされるが、そのうち少年兵がどれだけいるのか、正確な数は分かっていない。

 国連(UN)は、ミャンマーの政府軍および7つの少数民族武装勢力が国境付近での戦闘に18歳未満の少年兵を投入していると名指しで非難している。

 ヤンゴンやマンダレー(Mandalay)のような大都市では、新兵採用の担当者らが公園やパゴダ、バス停、鉄道駅などで、貧しく社会的に弱い立場にある少年たちを脅したり、麻薬や高給の仕事をだしに勧誘したりしているとされる。

 スー・テッ・トゥーさんをはじめ多くの子どもたちは、家族に一言も告げないまま連れ去られる。数か月連絡がつかないと、家族は子どもが死んだものと思い込んでしまうという。

 社会復帰できるまでの数年間は苦悩の連続だったというスー・テッ・トゥーさん。ただ、21歳となった今は整備士を目指し、自らの力で新たな生活を築くことに力を注いでいる。彼はAFPに対し、「あんな経験は思い出したくもない。起きたことを思い出すたびに痛みを覚える」と語った。「私は今も償いをしようとしている」