■解放されても地域社会に受け入れられず

 ミャンマーでは軍が50年にわたって実質的に国を支配していたが、2011年に民政移管が実現した。以降は、軍の締めつけが弱まり、少年兵の勧誘も抑制されている。

 ミャンマー軍は2012年、少年兵の採用を止めるとの公約を掲げた。そして人権団体と協力して数百人の若者を複数回に分けて解放している。しかし専門家らは、軍による少年兵の利用は続いており、子どもたちは危険にさらされたままだと指摘する。

 スー・テッ・トゥーさんは職場の車の整備工場で、ほのかな明かりの下、両手のタトゥーを暗い目で見下ろしながら、日常的に殴打され、酒に走ったいきさつを語った。

 2度にわたって軍からの脱走を図り、両親と妹が暮らす家に帰ろうとした。しかしいずれも捕まり、殴打され、軍に連れ戻されたのだという。

 しかし、国連設置の少年兵を通報するホットラインに母親が相談し、軍にスー・テッ・トゥーさんの出生証明書を提示して、ようやく除隊を許された。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、2012年以降にスー・テッ・トゥーさんを含め800人の少年兵が解放されたという。ユニセフは彼らにカウンセリングを行い、復学や事業設立の支援をしている。ただ、国際労働機関(ILO)の渉外担当者は、いまだに解放されていない少年兵が200~300人程度いることを指摘した。

 元少年兵の多くがそうであるように、スー・テッ・トゥーさんも解放後の生活になじむのは困難だと感じている。飲酒を続けて仕事を転々とし、家族との関係は破たんした。その後やっとのことで断酒のために仏教の僧院の門をたたいた。

 ユニセフ・ミャンマー事務所のバートランド・バインベル(Bertrand Bainvel)代表によると、多くの元少年兵は自宅に戻った後も近隣住民から拒絶されてしまうのだという。暴力を働き、他人に向けて武器を使用していた子どもを地域に受け入れたくないとの理由からだ。「だからこそ、元兵士の子どもを取り巻く環境全体に働き掛けることが非常に重要だ」とバインベル氏は説明した。(c)AFP/Caroline HENSHAW Hla-Hla HTAY