■日本に不時着したことも

 カークさんは2005年、ビンテージ飛行機で単独世界一周に挑戦した際に日本に不時着したことがある。2008年にはカリブ海(Caribbean Sea)に墜落し、米沿岸警備隊に救助された。このことへの感謝の意を示そうと米テキサス(Texas)州のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領の大牧場に飛行機で立ち寄って拘束され、短期間だが精神科の診療所に入れられたこともある。

 1920~30年代のビンテージ複葉機に搭乗したパイロットらは今月12日、ギリシャのクレタ島から、南アフリカのケープタウンを目指して飛び立った。カークさんは13日、1943年型の「パイパー・カブ(Piper Cub)」に乗って合流した。

 同イベントの責任者のサム・ラザフォード(Sam Rutherford)さんによると、カークさんはスーダンの首都ハルツーム(Khartoum)でのエンジントラブルの後、機体を修理するよう言われていた。その次の飛行でカークさんは1回目の行方不明になった。

 ラザフォードさんは「この段階で、私たちはモーリスのメインのGPS装置とコンパス(羅針儀)が機能していないと分かった。彼は予備のGPS装置の使い方をよく分かっていなかった。おまけに彼は地図を全部ハルツームのホテルに置いてきてしまっていた。飛行機を操縦する上で大切なものを持っていなかったんだ」と語り、次のように続けた。

「モーリスは興味深い経歴を持っている…彼が72歳にして、彼が今やっているようなことができているというのは、とても素晴らしいことだ。私は、ビンテージ・エア・ラリーと同じくらい魅力的な何かをするチャンスを誰にでも与えたいと思っている。しかしモーリスを受け入れたのは間違いだったのかもしれない、ということが真実味を帯び始めている」 (c)AFP/Raphael AMBASU