【11月14日 AFP】化石燃料の燃焼による世界の二酸化炭素(CO2)排出量がこの3年間はほぼ横ばいを維持していることが、14日に発表された報告書で明らかになった。報告書は、地球温暖化対策の「大きな助けとなる」ものの、進行を食い止めるには不十分だとしている。

 国際研究チームによる報告書「グローバル・カーボン・バジェット2016(Global Carbon Budget 2016)」は、モロッコのマラケシュ(Marrakesh)で開催中の国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第22回締約国会議(COP22)に合わせ、学術誌「アース・システム・サイエンス・データ(ESSD)」に掲載された。

 報告書によると、2015年はCO2の排出量が363億トン(GtCO2)を維持し、2016年は「ごくわずかに」0.2%の増加と推定される。

 これは、主に中国での石炭使用量の減少によるものと考えられ、それまでの10年間にCO2排出量が急速に増加していた中で、「明確で、前例のない」変化だと報告書は指摘している。CO2排出量は2004~2013年は年平均約2.3%増だったが、2014年は0.7%増にとどまっていた。

 ただ、地球温暖化防止の新たな国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」では、世界の気温上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑えるという目標を掲げており、これを達成するには排出量が横ばいでは不十分で、目標の達成には2030年までに年間0.9%の減少が必要だと報告書はしている。

 CO2排出量が世界1位の中国は、2005~2014年は年平均5.3%増だったのが、2015年は0.7%減となり、2016年も0.5%減と推定される。

 排出量2位の米国は、2015年は前年比で同2.6%減だった。ただ、パリ協定からの脱退を公言しているドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が次期大統領に決まったことで、マラケシュで開催中のCOP22では米国が地球温暖化対策の目標をほごにするのではないかとの懸念が広がっている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux