【10月21日 AFP】米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(70)は20日、来月8日の本選の結果は「もし自分が勝てば」受け入れるが、異議を申し立てる権利は留保すると述べた。トランプ氏の選挙活動が混迷を深めるにつれ、米政治そのものが未知の領域に足を踏み入れようとしている。

 トランプ氏は前日、民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官(68)と行った最後の討論会の場でも、クリントン氏が投票を不正操作しているなどとして、クリントン氏が勝利した場合に結果を受け入れるかを明言しなかった。

 トランプ氏は20日、遊説先のオハイオ(Ohio)州デラウェア(Delaware)で、歓声を上げる支持者らを前に「この偉大で歴史に残る大統領選挙の結果を全面的に受け入れるつもりだ──もし私が勝てばの話だが」と語った。

 その一方で「選挙結果が明確であれば受け入れるが、もし疑問の余地が残る場合は、異議を申し立てて訴訟を起こす権利を留保する」と述べた。

 こうしたトランプ氏の態度は米国の現代政治史において前例がなく、選挙後の混乱を危惧する声が強まっている。数々のわいせつ疑惑に見舞われたトランプ氏は急速に勢いを落とし、選挙での敗北の可能性が濃厚になってきたとはいえ、それでも5000万もの票を獲得するとみられているからだ。

 米政府関係者らにとっては今や、トランプ氏の支持者が選挙結果にどう反応するかが最大の関心事となっている。

 トランプ氏の主張が選挙そのものに与える影響も不透明だ。米コーネル大学(Cornell University)のアダム・セス・ルビーン(Adam Seth Levine)教授(政治学)は「選挙の不正操作を訴えることは基本的な民主主義の規範や原理を損なうばかりか、投票率の低下も招く」と指摘している。(c)AFP/Michael Mathes with Andrew Beatty in Washington