■非難の応酬

 クリントン氏とトランプ氏は非難を応酬し、舌戦を繰り広げた。

 大統領選の本選を6週間後に控えてデッドヒートを演じている2人だが、クリントン氏は討論会の冒頭からトランプ氏を世事に疎く現実離れしていると評し、同氏が選挙で選ばれるのは「クレイジー」だと主張した。

 クリントン氏は「あなたは、あなた独自の現実の中に住んでいる」と述べ、トランプ氏が「人種差別主義者のうそ」──バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の市民権に疑問を呈する陰謀論──を足掛かりに政治家としてのキャリアをスタートさせたと非難した。

 一方、米国の大統領にふさわしくないとの厳しい見方に直面しているトランプ氏は、最初こそ抑制的な様子だったものの、すぐにいつもの攻撃的な口調で言葉のジャブを繰り出してクリントン氏の話をさえぎり、同氏を「典型的な政治家。口先だけで行動は伴っていない。聞く分にはよいことを言うが、仕事はしていない」と攻撃した。

 クリントン氏は、大統領選の慣例に沿って確定申告書を公表するようトランプ氏に要求するとともに、富裕層には減税になる米国史上「最も過激な」経済政策を支持しているとしてトランプ氏を非難した。

 これに対してトランプ氏は、クリントン氏が国務長官在任中に私用メールアドレスを公務に使用したことを取り上げ、クリントン氏が削除した3万3000件の電子メールを公開すれば自分も確定申告書を公開すると反論した。