【9月14日 AFP】米シカゴ(Chicago)で、89歳になる高齢の男性が手押し車を押してアイスを路上販売している姿に胸を痛めた男性がインターネット上で支援を呼び掛けたところ、これまでに28万ドル(約2870万円)を超える寄付金が集まったことが分かった。最近一人娘を亡くした上、妻も病に倒れたという男性はようやく引退できそうだと喜んでいる。

「パレタ(棒付きアイスキャンディー)・マン」として知られるフィディンシオ・サンチェス(Fidencio Sanchez)さんを救うプロジェクトをクラウドファンディングサイト「ゴー・ファンド・ミー(GoFundMe)」で立ち上げたのは、レストラン経営者のジョエル・セルバンテス(Joel Cervantes)さん。

 サンチェスさんとはヒスパニック系が住民の大部分を占めるリトルビレッジ(Little Village)地区で偶然出会った。背中を丸め、よぼよぼと歩くサンチェスさんが手押し車を必死に運んでいる姿に心を打たれ、支援活動に乗り出すことにしたという。

 セルバンテスさんは今月9日、ゴー・ファンド・ミーにこう書き込んだ。「サンチェスさんご夫妻は最近一人娘を亡くしたばかりで、今も悲しみに打ちひしがれています。年老いた奥さんも生計のためパレタを販売していましたが、病に倒れ、もう働くことができません。私たちはサンチェスさんのためにできることなら何でもしようと考え、資金を募っています」

 セルバンテスさんは募金の目標額を3000ドル(約31万円)と控えめに設定していたが、ふたを開けてみると想像以上に大きな反響を呼んだ。セルバンテスさんは地元紙シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)の取材に「正確に言えば、募金開始から54分後には目標額に達した」と説明。サンチェスさんがこのかいわいで有名で、手を差し伸べたいと思っている人が大勢いたことにすぐ気づいたと語っている。

 これまでにサンチェスさんへの寄付は1万3000件以上集まり、ゴー・ファンド・ミーで最も人気のあるプロジェクトの一つになっている。

 サンチェスさんはさまざまなメディアの取材にスペイン語で答え、支援に感謝していると述べている。このうちCNNのインタビューでは「とてもありがたく思っているし、とても幸せだよ」と語り、近く働くのをやめる意向を明かしている。(c)AFP