【8月8日 AFP】リオデジャネイロ五輪のボクシング男子が行われた7日、微妙な判定で敗れたホンジュラスの選手が、「夢を盗まれた」と怒りの声をあげている。

 将来を嘱望される19歳のテオフィモ・ロペス(Teofimo Lopez)は、ライト級1回戦でフランスのソフィアヌ・ウミハ(Sofiane Oumiha)と対戦し、判定の末0-3で敗れた。この判定に会場からは大きなブーイングが起こり、ロペスは挑発するかのようにリング中央で身をかがめてから、後方宙返りを披露してみせた。

 実はロペスは、最近になってホンジュラスに国籍を変更した選手。元々は米ニューヨーク(New York)のブルックリン(Brooklyn)生まれで、最近までは米国籍で試合に出場し、同国の五輪選考会でも優勝していたが、複雑な選考過程を経て、最終的には代表メンバーから落選していた。

 そこでロペスは、両親の母国で、代表入りの権利があるホンジュラス代表としてリオ五輪に出場することを選択した。ロペスは、自分が負けたのはそのせいだと考えており、国際ボクシング協会(AIBA)もホンジュラスも、ロペスの五輪出場を求めていなかった。

 ロペスは試合後、「あのブーイングを聞いだだろ。AIBAは俺に勝たせたくなかった。俺たちが勝つとややこしくなるから。AIBAは俺の夢を奪ったんだ。腐った組織だ」と話した。

 トレーナーを務める父親も、「予想通りだ。息子が選考会に勝ったときも、あいつらは権利を奪った。もし米国代表で出場していたら、こちらが勝つ可能性は高かったはずだ」と関係者への怒りを爆発させた。

「勝ったのは息子だ。だけど息子には最初から言っていたんだ。相手を殺さない限り、こちらの勝ちはないとね」

 AIBAは、ロペス陣営の主張を一蹴している。

「彼は試合を終えたばかりで熱くなっている。再試合の可能性はない。彼の個人的な判断だ。AIBAは常に公平な戦いの場を用意している。こうした主張は常に主観的なもので、受け入れるわけにはいかない」

(c)AFP