■露スポーツ相は「大半」の選手の出場に自信

 ロシア選手に対する調査に使える時間が刻々と減っていくなかで、ロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ相は、387人の選手団の「大半」がリオ五輪に出場できると自信をみせている。ムトコスポーツ相自身は、ロシアの組織的なドーピングの中心人物として、IOCからリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)入りを禁止されている。

 ロシア選手のなかには、すでにブラジル入りしている人もいるが、ほとんどは28日に出国予定。しかし、まだ判断を明らかにしていない競技団体が複数あり、実際にどれだけの人数がリオの舞台に立てるかは依然として不透明な状況が続いている。

 ロシア陸上の組織的なドーピングの内部告発を行いながら、リオ五輪出場が認められなかった女子800メートルのユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova)は、最後の望みをかけ、IOCに対して再考を訴えている。ステパノワは国際陸上連盟(IAAF)や反ドーピング機関関係者から出場を認められ、内部告発を行った勇気を称賛されていたが、IOCの倫理委員会は出場不可の判断を下していた。

 そのほかでは、平泳ぎで世界選手権を4度制している競泳女子のユリア・エフィモワ(Yuliya Efimova)が、出場禁止に対する異議をスポーツ仲裁裁判所(CAS)に申し立てる意向を表明している。ただし、CASのマシュー・リーブ(Matthieu Reeb)事務総長によれば、訴状はまだCASに届いていないという。

 出場禁止リストに載る名前が次々に増えていくなかで、全面的な出場禁止を見送り、判断を各競技団体に委ねたIOCへの猛烈な批判も続いている。

 ロンドン五輪の男子円盤投げで金メダルを獲得したロバート・ハルティング(Robert Harting)は、同じドイツ出身のトーマス・バッハ(Thomas Bach)IOC会長について、「反ドーピングシステムではなく、ドーピングシステムの一部だ」と痛烈に皮肉った。

 これに対してバッハ会長は、全面出場禁止を見送ったのは「世界中のクリーンな選手の権利を守るため」だと主張し、ロシア選手の出場には「極めて厳しいハードル」を課したと反論している。(c)AFP/Eric BERNAUDEAU