【8月1日 AFP】チュニジア出身のスポーツ選手の中で最も輝かしい成績を残している競泳男子のウサマ・メルーリ(Oussama Mellouli)は、五輪で通算2個の金メダルを獲得するなど、国際大会でこれまで数々の成功を収めてきた。そして、薬物違反による出場停止処分を科されるなど激動のキャリアを経験したメルーリは、ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で通算5度目の五輪出場を果たすことになる。

 五輪の競泳でアフリカ勢初の金メダリストとなった32歳のメルーリは、五輪でもう一度メダルを手にする可能性について、「冷静」かつ「楽観」しており、「五輪では知り尽くした時間を過ごすことになる。若手選手にとっては違うものになるだろうね。食べて、泳いで、寝る。これの繰り返し。それが選手のリズムだ。それ以外のことは何も考えてはならない」と語った。

 2000年のシドニー五輪と2004年のアテネ五輪に出場したメルーリは、2006年11月にアンフェタミン(amphetamine)の陽性反応を示し、18か月の出場停止処分を科された。違反した薬物について、当時のメルーリは勉強するための目覚ましだったと説明したが、2つの世界タイトルをはく奪されている。

 そして処分が明けて臨んだ2008年の北京五輪で、メルーリは男子1500メートル自由形で金メダルに輝き、復帰からわずか3か月間でアフリカの歴史を刻んだ。

 4年後に開催されたロンドン五輪では、男子1500メートル自由形で銅メダルを獲得すると、ウイルスによる嘔吐(おうと)に襲われながらも、オープンウオーター男子10キロメートルに出場することを決意。炎天下のなかでトーマス・ルルツ(Thomas Lurz、ドイツ)をかわし、1時間49分55秒1で金メダルを獲得。メルーリは、競泳とオープンウオーターの両種目を制した史上初の選手になった。